2013年5月28日火曜日

ちいさいののはなし 11 Thursday, March 29, 2012


「だってどっちもおなじことをいったんだろう」
 「あのカラスたのしそうだな。え?」
 「おなじでしょって。ずっとわらってるね。」
 「じゃあね、えっと、いっしょにいってみて」
 「なにを」
 「いまって、ゆっくり。いまいまいまいま」
 「いいいいいいい」
 「いまいまいまいまい」
 「いいいいいい」
 「まいまいまっ」
 「いいいいい」
 「もういいよ」
 「ふう、ま?」
 「おしまい。ね」
 「ええ?」
 「ゆっくりののあいだに、なんこもあった」
 「なんこだったっけ」
 「さあね。おなじもののなかに、おなじものはなんこもはいりません」
 「はいれません」
 「ほらちがう」
 「そうか」
 「もっとはやいのだったらもっともっとなんこもはいる」
 「ちいさくなる」
 「もっとゆっくりだったら」
 「おおきい」

 「いいい」
 「またかい?」
 「いいまっ、いまっていえない」
 「いったよ」
 「いってない。い、ていって、そのあとにま、てなる」
 「そりゃだってい、とま、だもの」
 「だもの」
 「だもの」
 「いまって、いいだしてからいいおわるまでがいまなら」
 「うん?」
 「いまのなかにいまがたくさんはいる」
 「ああ、さっきみたいに」
 「さっきみたいに、どんどんどんどん」
 「どんどんだった」
 「だった。けど、いいっていいおわって、まあってなるあいだがある」
 「あるかい」
 「あったもん。いっしょにい、とま、がいえなかった」
 「うん」
 「あいだがあった」

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