「だってどっちもおなじことをいったんだろう」
「あのカラスたのしそうだな。え?」
「おなじでしょって。ずっとわらってるね。」
「じゃあね、えっと、いっしょにいってみて」
「なにを」
「いまって、ゆっくり。いまいまいまいま」
「いいいいいいい」
「いまいまいまいまい」
「いいいいいい」
「まいまいまっ」
「いいいいい」
「もういいよ」
「ふう、ま?」
「おしまい。ね」
「ええ?」
「ゆっくりののあいだに、なんこもあった」
「なんこだったっけ」
「さあね。おなじもののなかに、おなじものはなんこもはいりません」
「はいれません」
「ほらちがう」
「そうか」
「もっとはやいのだったらもっともっとなんこもはいる」
「ちいさくなる」
「もっとゆっくりだったら」
「おおきい」
「いいい」
「またかい?」
「いいまっ、いまっていえない」
「いったよ」
「いってない。い、ていって、そのあとにま、てなる」
「そりゃだってい、とま、だもの」
「だもの」
「だもの」
「いまって、いいだしてからいいおわるまでがいまなら」
「うん?」
「いまのなかにいまがたくさんはいる」
「ああ、さっきみたいに」
「さっきみたいに、どんどんどんどん」
「どんどんだった」
「だった。けど、いいっていいおわって、まあってなるあいだがある」
「あるかい」
「あったもん。いっしょにい、とま、がいえなかった」
「うん」
「あいだがあった」